私たちの経済で資産運用が重要な理由

世の中に出回る現金や預金などを足した世界の通貨供給量は、2020年現在で120兆ドルを超えてきている一方で、世界の国内総生産(GDP)総額は90兆ドル弱です。世界の通貨供給量とGDPは2000年代半ばまではほぼ同じ量で推移していましたが、2009年以降は通貨供給量がGDPを上回るようになり、その乖離は近年ますます大きくなっています。

さらに、世界の金融資産残高は、2002年には総資産額は約120兆ドルでしたが、2020年には500兆ドル近くまで伸びています。世界のGDP80兆ドル、通貨供給量120兆ドルに対して、金融資産ははるかに多い500兆ドル(7.5京円)!!なのです。なぜ金融資産残高がこれほど多くなるのでしょうか?

一つ目の理由は多様な金融資産です。通貨供給量は現金と預金の総額を示すものですが、金融資産には、株式、債券、預金、投資信託、不動産、デリバティブ(先物・オプション等)など幅広い金融商品が含まれます。二つ目はレバレッジ(借入)の効果です。企業が債券を発行して資金調達する、また個人が住宅ローンを利用して不動産を購入することで債券や預金が創造されます。三つ目の理由は、住宅ローンなどの証券化商品など新たな金融商品やサービスが開発されると金融資産の種類と量が増加します。株式や不動産価格の上昇も金融資産残高の増加につながります。世界の金融機関別資産残高を見ると銀行以外のその他の金融仲介機関や年金、保険の伸びが大きいことが分かります。このことからも資産運用業が重要なことがわかります。

蓄積された金融資産のパワーはものすごいです。我々の現実の世界への影響は良くも悪くも大きくなります。悪い影響の例では、リーマンショックによる金融危機が世界的な景気後退を引き起こすようなことがありました。このように金融資産の蓄積がますます増加する中、資産運用業はより良い世界を創るためにも非常に重要な役割を担っているのです。